■ お口の臭い(口臭症)について
最近、お口の臭いを気にして来院される患者さんが増えています。しかしながら、そのような訴えをもって来院される患者さんに対し納得が行く診療態勢は今もって十分に確立されていないのが現状であるように思われます。少し前の報告になりますが、平成11年に行われた厚生労働省の健康福祉調査によると、全国の15才以上の約7人に1人の方が口臭を自覚しているという統計結果が報告されています。この結果は最近特に言われている「生活の質の向上」という意識からも今後さらに増加していくと思われます。
ひとくちに口臭症といっても、明らかに口臭が認められるもの(真性口臭症)、自身は口臭を訴えるものの実際には口臭を認めないもの(仮性口臭症)に分類されます。歯周病(歯槽膿漏)などのお口の中の病気が原因で起きる真性口臭症の患者さんであれば、その原因である疾患を治療することにより口臭を消失または減少させることができますが、口臭を訴えて来院するものの実際には口臭がない仮性口臭症の患者さんも多くいらっしゃいます。
真性口臭症の原因は様々であり、その多くは口腔清掃の不良や歯周病が考えられます。また、ウ蝕や不良な修復物の存在もプラークの増加因子となり、舌苔(舌の表面につく汚れ)の存在も細菌の温床の場となるので病的な口臭の直接的な原因となることが多いようです。
さらにこれらの原因以外には、唾液の分泌量の減少によって引き起こされる口腔乾燥症があります。お口の中の自浄作用が低下することにより細菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。起床時の口臭、空腹時の口臭、また持続性緊張による口臭はこれらの原因によるものと思われます。
一方、それ以外に考えられる口臭の原因には全身的な疾患に使われているお薬の長期服用、性ホルモン分泌の変化、耳鼻咽喉疾患、揮発成分含有の食品、喫煙、飲酒などが挙げられます。
以上ここでは口臭症のうち真性口臭症の原因について、その概略をお話しました。真性口臭症は周りの人がそれとなく感じていても「あなた、口が臭いですよ」とは、なかなか言ってくれないものです。ご自身が口臭を気にしているなら、ごく身近な人に直接聞いてみてはいかがでしょうか。そして、もしその可能性があるならどうぞ歯科医に遠慮なくご相談してみて下さい。
参考文献:歯学94 秋季特集号:36-39,2006 |